めくるめく恋心

「心どうしたの！？」

「お前、何で泣い……」

「蒼汰君がっ事故だって電話がっ、きーちゃんが病院で……」

「心！　落ち着け、大丈夫だから。」


両手で顔を持ち上げられ、うーちゃんと視線がぶつかった。泣いてるせいで上手く言葉が出てこない。


「ゆっくりでいい、深呼吸しろ。」


Ｔシャツを掴む手が震える。どうにか呼吸を整えようとすると、手にグッと力が籠る。


「きー、ちゃんが……事故っで、病院に運ばれったってっそぉた君、が……っ」


そこまで言うとうーちゃんに抱きしめられた。うーちゃんの胸に顔を埋めると、涙がまた酷くなった。落ち着かせるように背中を優しくさすってくれている。


「監督！　弟が事故って病院に運ばれたみたいなんで、今日は帰ります。」

「あぁ、分かった。」

「心、先に靴履き替えに行って来い。　愛、悪いけどこいつについててやってくんない？」

「あ、うん！　心行こう。」


愛に手を引かれながら、うーちゃんに顔を向けると「直ぐ行く。」と言われて、泣きながら頷いた。

＿もしもきーちゃんが……そう思うと怖くてしょうがない。