めくるめく恋心

全く悪気はないんだろうけど、輝夫先輩ってたまに……いや、基本空気読めない気がする。

スッと隣に秋ちゃんが現れた。


「初めまして、幼馴染で元カレの早瀬です。」

「えぇ！？　早瀬とイッチーが！？　マッジで！？」

「初めまして。　心から話は聞いてるよ。　まさか会えるとは思ってなかったよ。」

「俺もココから話は聞いてますけど、顔を合わせるとは思ってませんでした。」

「心から？」


＿どうしよう……まだ秋ちゃんとの事千里に話せてない。　空気が重すぎる。

でもこの空気の壊し方が分からなくて、上手く言葉も出てこなかった。

チラッと恵奈ちゃんと愛を見ると、二人から苦笑いで返された。

＿そうなるよね。


「あー！！　右京いたぁ！！　体育館に居ると思ったら居ないし、探したんだからね！！　って何なの？　この微妙な雰囲気。」


そこで元気よく現れた欄先輩が救いの女神に見えた。

私たちを見て不思議そうな顔をした欄先輩だけど、直ぐに笑顔になってうーちゃんに駆け寄った。


「教室に着替えに戻るんだけど、一人じゃ寂しいから付き合ってくれない？」

「……いいよ。」


千里の手を取り、半ば強引に学食から連れ出した。

＿誤解される前にちゃんと話さなきゃ……！！