めくるめく恋心

教室に戻ろうと振り返ったら、千里と輝夫先輩と鉢合わせた。


「ウサミミ着けてんの誰かと思ったらココロンじゃん!」

「輝夫先輩髪の毛が……。」

「どーお? 可愛いっしょ?」

「可愛い……のかな?」

「ちゃらくなったってハッキリ言っていいよ。」

「元からチャライからいんだよ!!」


輝夫先輩の開き直りに思わず笑ってしまった。確かに茶髪にピンクのメッシュは今までよりチャラく見えるけど、輝夫先輩らしいヘアスタイルだと思った。


「心は可愛いね。 ウサギ。」

「やっと着れるまで出来上がったから着てみたの。 細かい調整とかアレンジはこれからだよ。」

「そうなんだ。 当日が楽しみだね。」

「千里の妖狐姿も楽しみ。」

「やっぱり彼氏だ!!」


そう言って恵奈ちゃんが後ろから抱き付いてきた。恵奈ちゃんに顔をマジマジと見られて千里は笑って首を傾げた。


「この子が幼馴染の恵奈ちゃんだよ。」

「心の話によく出てくる恵奈ちゃんだね。 初めまして、千里です。」

「初めまして、恵奈です。 いつも心がお世話になってます。」

「こちらこそ。 それより他校の君がどうしてここに?」