めくるめく恋心

こういう自由というか自分に正直な姿を見ると、どことなくきーちゃんの姿と重ねてしまう。だから千里といる時は変な気を遣わないでいられるのかなと思ったりもする。


「千里のクラスはお化け屋敷だっけ?」

「そうだよ。」

「千里は何のお化けするの?」

「キツネだよ。」

「千里も動物だ。 コスプレしてる時に一緒に写真撮りたいね。」

「絶対撮ろうね。」


_キツネって事は妖狐って事だよね? 凄く似合いそう。 でも妖狐の姿の千里がお化け屋敷に居たら、違う意味で騒がしくなりそう。 女子生徒でいっぱいになるんだろうな。


「そろそろみんなの所に戻らなきゃ。」

「ん、邪魔してごめんね。」

「ううん、会いに来てくれてありがとう。」


フワッと笑った千里に抱き寄せられて、緊張した。周りの声が騒がしくなって落ち着かない。それに肩に乗った千里の顎がくすぐったくて、ドキドキしてしまう。


「輝夫ー、教室戻ろー。」

「おー!!」


輝夫先輩が来ると、千里の体が離れて緊張が解けていく。千里と輝夫先輩にバイバイをして教室に戻ると、女の子たちから一斉にからかわれた。一番からかい方が凄かったのは言うまでもなく愛だった。