「ちょっと! 何このバカップル!! 熱にやられて倒れそう!!」

「愛チンも早く男見付けろよ。」

「余裕ぶっこきの輝夫先輩チョームカつくんですけどー!! どうせ直ぐ別れるんじゃないんですか!?」

「何とでも言えばいいさ。 一人もん。」


輝夫先輩はプッと笑って愛の肩に手を載せた。まんまと挑発に乗った愛は輝夫先輩の首を絞めてこれでもかと揺らし始めた。けど輝夫先輩はずっと幸せそうにニヤニヤしていて、申し訳ないけどちょっと気持ち悪かった。


「心は何の動物やるの?」

「ウサギ!!」


何だか落ち着かないと思ってソローッと周りを見ると、女子の視線が集まっていた。

_そうだ、すっかり忘れてた。


「持田さん、ちょっとだけ外しても大丈夫? 直ぐ戻るから。」

「うん、大丈夫だよ。 みんなと進めとくねー。」

「ごめんね、ありがとう。」


持田さん始め、衣装係のみんなに断りを入れて千里と廊下に出た。ここでも視線を感じるけど、教室に居るよりはましでしょ。

そんな事を思っていると、いきなり千里に手を引かれた。壁に寄りかかっている千里の足と足の間に立って向かい合わせ。腰の後ろに腕を回され、なんだか捕まってしまったような気分になった。

_余計目立ってる……恥ずかしい。

でも千里は気にしていないのか、楽しそうに笑っている。