それから右京の従姉妹と仲良くなった。そしてその子の名前が“心”という事も知った。右京が大事な人といったのは従姉妹の事だった。

どうして右京が心の事を大事にしているのかは分からないけど、心に対してはビックリするくらい過保護で、傍から見ればカップルみたいに仲が良い。心と一緒に居る時の右京は今まで見た事がないくらい優しい。最初はそれを微笑ましくも思っていたけど、それを見る度に胸がざわつくようになった。

もしかして二人はその内付き合い出すんじゃないか……そんな考えが頭を過ぎるようになった。

不安な気持ちに苛まれる中、心と千里が付き合い始めたと聞いて心の底から安堵した。


「心とはどうなの?」


夏休み中の登校日、靴箱で千里と会った。


「順調だよ。 欄こそ篠宮君とはどうなの?」

「私は相変わらず……。」

「正直、ここまで欄が本気だとは思ってなかったよ。 俺も心も応援してる。」

「ありがと! 千里は心とずっとラブラブでいなよね!!」


それは私の本当の気持ち。だけど、きっと純粋な想いからの言葉じゃない。右京と心に万が一の事がない様にちゃんと捕まえてて……そんな想いも交じってた。

右京の事は心に相談することが増えた。心は嫌な顔一つせずに相談に乗ってくれる。

心の事を知るたびに妹みたいで可愛いなと思う。心と話していると楽しくて、どうかこの関係が崩れない様にと何度も願った。