めくるめく恋心

_大事な奴って何? 好きな人って事?

訳が分からない。

私の横を通り過ぎようとした右京の腕を掴んだ。


「いい加減直ぐ腕掴むの止めろよな。」


_言い方はいつもの調子だけど、やっぱり態度が可笑しい。


「私何かした? この間迷惑かけた事は悪いと思ってる。 けど、そんなに怒るなら関わらなきゃ良かったじゃないの!!」

「……怒ってねぇよ。」

「嘘!! だって態度が冷たいじゃん!! 言いたい事があるなら言えばいいじゃない。 ってか言ってくれなきゃ分かんない!!」


右京の目を真っ直ぐ見つめた。感情的な私とは打って変わって、右京は表情をピクリとも変えない。


「お前の人間関係なんてどうでもいいけど、俺はお前みたいに自己中な人間は好きじゃない。」

「自己中って……何それ!? 意味わかんない!! ワガママって言いたいの!?」

「ワガママの方がまだ可愛げがある。 お前のは相手の気持ちも考えねぇで、自分勝手な言動で相手を傷つけてる。 相手を傷つけるって分かっててやらなきゃいけねぇ事もあるけどな、それを最小限に抑える配慮はねぇのかって話だよ。」

「…………。」


右京は私の腕を振りほどいてファミレスへ入って行った。

不思議と思い出したのは元カレとの最後のやり取りだった。あの時のやり取りも一方的だったけど、最初に切り出した別れ話も一方的だった。出会った頃は片時も離れたくないくらい好きだったのに、私は自分の気持ちだけであんなに酷い態度を取ってしまった。思い返せば今までの彼とも最後はそんな感じだった。