めくるめく恋心

結子と話ながら、何回ドリンクバー行ったか分からない。少しお腹がタポタポしている気がする。

右京の方へ視線を向けると、さっきまで座っていた筈の右京の姿がなくなっていた。

_トイレ? ドリンクバー? もしかして帰っちゃったとか!?


「右京は!?」

「電話しに外に行ってますよ。」

「ありがと!」


愛にお礼を言って席を立つと、結子から「引いてみるんじゃなかったの?」と言われた。「もういいの!」と返すと結子は笑って「行ってら〜。」と言ってくれた。

ファミレスを出ると、右京は壁に寄りかかってまだ電話していた。電話している横顔を見て、目を疑った。

_あんな柔らかい顔した右京知らない。 ねぇ、誰と話してるの?


「あぁ、ならいいけど……心、気をつけてな。」


_心って誰? 彼女?

電話を切った右京が私に気付いた。その瞬間、優しい顔がいつもの鋭い表情に変わった。


「今の電話誰? 彼女?」

「お前には関係ないだろ。」

「関係あるよ! だって右京の事が好きなんだもん!! 彼女いるかいないかぐらい知る権利あるでしょ!?」

「……彼女じゃない。 けど、大事な奴。」