高校二年の春、私は初めて一目惚れというものを経験した。

すらっと伸びた身長に、がっちりとした体型。そして鋭い視線……一目で彼の虜になった。たくさんの人で賑わう購買で、彼以外目に入らなかった。


「欄? ボーっとしてどうしたのよ。」

「先に食べてて!!」

「え!? ちょっと欄!!」


友達に一言声を掛けて、その彼の元へ走った。

腕を掴むと彼は驚いた顔でふり返った。

_近くで見てももろタイプ!!


「何すか?」

「私二年の欄!! 名前何て言うの!?」

「……篠宮。」

「下の名前!!」

「……右京。」


_篠宮 右京……名前までカッコイイ!!


「連絡先教えてよ!!」

「何で?」

「何でって知りたいから!!」


渋々といった感じで右京は連絡先を教えてくれた。

一目惚れと言っても見た目がドンピシャなだけで、別に付き合いたいとかそんな気持ちはなかった。純粋に興味を惹かれた。ただそれだけだった。