「夏休みは彼氏とデート三昧?」

「ううん。 千里はサッカー部だから、忙しくて最近は全然会えてないよ。 でも毎日電話してる。」

「あれ? サッカーは夏の大会まだ終わってないの?」

「あ、うん。 でももう直ぐ帰ってくるよ。」


バスケのインターハイはもう終わってしまって、試合で県外に行っていたうーちゃんも無事に帰ってきた。

今大会ではベスト5の成績を残した我が校のバスケ部。

家に帰ってきたうーちゃんを家族みんなでクラッカーを鳴らして出迎えた。予想通りうーちゃんは眉毛をピクリともさせず、『ただいま。 っつーか腹減った。』と言ってドカッとソファーに座った。千代さんは『可愛げのない子〜。』と言いながらキッチンへと消えて行った。


「聖園は準優勝だったんだって? 凄いね!」

「私も凄いと思うんだけどさ、直ったら『一位以外なら何位でも同じだ。』とか言っちゃって、久しぶりに会ったのに不機嫌全開でもう本当にイヤになっちゃう。」


_それでか……おめでとうメールを送っても返事がなかったのは……。

直ちゃんは昔から負けん気が強くて、悔しい時には正直に態度に出す。それに比べて秋ちゃんは内側に閉じ込める性格で、良く知らない人から見れば冷静沈着で冷めている様な印象を持たれてしまう。


「あ! それよりさ、会った時に聞こうと思ってたんだけど、前篠宮君が凄い怖い顔してうちの学校に来て吉良君と凄い険悪な感じだったよ。 家で殴り合いの喧嘩とかにならなかった?」

「え!? そうなの!?」

「そうなのって、知らなかったの!?」