めくるめく恋心

＿……は？


「ちょっ……待って……どういう意味……？」

「男にやられかけたっつってんだよ！！」


右京に胸ぐらを掴まれて、そのまま壁に押し付けられた。でもそんな事はどうでも良かった。頭の中が真っ白になった。


「逃げれたから良かったけどな、最悪殺されてた。　周りに気ぃ遣ってばっかの心が友達ほっぽって帰るって言った時、何も疑問に思わなかったのか、てめぇはよ。」


＿確かにそうだ。　俺と気まずい事になってるからって、友達ほったらかしてココちゃんが帰るわけない。


「あいつ数日前から体調を崩してた。　前のお前なら気付けてたんじゃねーのか？」

「っ……。」


言われてみればたまに浮かない顔をしていた。俺が気に掛けていれば無理することはなかったかもしれない。帰らなきゃいけない程辛くなることはなかったかもしれない。

＿何やってんだ、俺は！

その場にしゃがみ込んで額に手を置いた。顔が上げられない。


「グダグダ考えてあいつを傷つけるくらいなら、早く気持ちぶつけちまえよ。」

「っ……何の事言ってんのかさっぱり分かんねーし。」

「お前それで隠してるつもりかよ？　まー言う気がねぇならそれでも構わねぇけど、それならいい加減ガキみてぇにいじけて心に当たんの止めろ。　他の男にとられたからって、今のお前に妬く資格なんてねぇんだよ。」