めくるめく恋心

次の日の朝、前夜に考えていた通り千代さんたちと顔を合わせずに、玄関から声だけを掛けて急いで家を出た。

教室に着くなり、みんなに「どうしたの!?」と驚かれた。怪我した日は傷だけだったけど、時間が立って青あざも出来ていた。


「あはは、すっごい勢いで転んじゃって、顔も体も傷だらけだよー。」

「笑いごとじゃないよ! 傷残ったら大変だよ!? 市川さんって運動神経いいのに案外抜けてるんだからー。」

「あはは、今度から気を付けるー。」


女の子たちから呆れられてしまった。でも上手く誤魔化せたみたいでホッとした。

_HRの時間までもう少しあるな。

スマホを取り出して、千里にメールを送った。


「イタっ!!」


突然腕を掴みあげられて驚いて顔を向けると、怖い顔をしたうーちゃんが私の腕を掴んでいた。


「ちょっ、痛い! うーちゃん!! 痛いってば!!」


うーちゃんに無理矢理教室から連れ出された。私の言葉何て完全無視。


「右京落ち着けって!!」


いつの間にか傍に居た恭平と愛の言葉も無視して無言で歩くうーちゃん。