めくるめく恋心

今日は元々泊まる予定だったから、替えの下着もパジャマもある。パジャマを着てリビングに戻ると、千里がソファーに座ってテレビを観ていた。


「心、こっちにおいで。」


言われるがまま千里の所に行くと、手を掴まれた。ソファーに座る様に促され、千里と向かい合う様にソファーの上に座った。


「傷の手当しよう。 痛かったら我慢しないで言うんだよ?」

「うん、ありがとう。」


慣れた手つきで千里が傷を消毒してくれる。手当してくれている千里の顔を見つめた。長いまつ毛が綺麗な顔を更に綺麗に見せているのかな?とかそんな事ばかり考えた。

じーっと千里の顔だけを見つめていると、顔を上げた千里と視線がぶつかった。千里は無言のまま、親指の腹で私の唇の端にそっと触れた。


「これ、殴られた痕……だよね?」


千里の手に自分の手を重ねた。千里の目を見ていられなくて、目を伏せた。


「バスで駅まで行こうとしたんだけど……でもバス行っちゃって、暫く来なくて……だから歩いて……でも、あの……」

「ゆっくりでいいから、ね?」


少しは落ち着いたと思っていたけど、やっぱりまだ頭の中は混乱していて、言いたい事が上手く纏められなかった。それでも私の下手くそな説明を千里は急かすことなく、辛抱強く聞いてくれた。

話し終わると同時に千里に抱きしめられた。私もしがみつく様に腕を背中に回した。