めくるめく恋心

鞄が震え出してビクッとした。

スマホが震えていて千里の写真と名前が映っていた。

通話にして耳に当てると、「まだ帰ってるところ?」と千里の優しい声がした。その声を聞いて頑張って抑えていた声が漏れてしまった。


「心!? どうしたの!?」

「せ、んりっ……っ……。」


上手く話せなくて、余計涙が溢れてくる。話したいのに、嗚咽ばかりが漏れて何も伝えられない。

それでも何とか今自分が乗っている電車を伝えると、「迎えに行くから○○駅で降りて待ってて。」と言ってくれた。

電話を切ってから涙を引っ込めるのに時間がかかった。

どうにか涙が止まった頃には頭が重くて、顔が腫れぼったくなってる感じがした。

少し気持ちが落ち着いて、体中傷だらけだという事に気が付いた。小さな傷ばかりだけど、足の傷は少し酷くて血が出ていた。きっと引きずりこまれた時についたんだろう。あれは夢じゃなかったんだと思うと、また鼻の奥がつんとしてきた。

千里に言われた駅について電車を降りた。

ホームの椅子に座って千里に“ホームに居るね。”とメールを送った。すると直ぐに“俺ももう直ぐつくから。”と返事が返って来た。

スマホをギュッと握りしめて何度も何度も深呼吸をした。泣きすぎたせいでまだ鼻が詰まっている。喉も少し痛くて、そこで漸く喉がカラカラな事に気が付いた。

ペットボトルの水を飲む時、痛みを感じた。

_口の端と中が切れてる……。 殴られた時に……?

手からペットボトルが滑り落ちた。

_ペットボトル拾うのがこんなに怠いと思ったのは初めて。

そんな事を思いながら拾ったペットボトルを近くのゴミ箱に捨てた。