めくるめく恋心

いつの間にか周りには人がいて、今いる所が駅だと気付いた。

_息が……っ、苦しい……。


「っ!?」


握ったままになっていた石を慌てて投げ捨てた。

初めて人を殴った。それも石で……。

力が抜けてその場にしゃがみ込んだ。涙が止まらない。

_助かった? 助かったんだよね?

手が震えてる。そう思ったら震えているのは手じゃなくて体だった。中々震えが治まらなくて、自分で自分を抱きしめた。


「あの……。」


声を掛けられ、反射的に顔を上げた。すると声を掛けてくれた女の人は驚いた顔をした。


「大丈夫ですか?」

「えっと……大丈夫、です……。」


慌てて立ち上がり、走って駅に入った。そのままの勢いで改札を通り抜け、ちょうど来た電車に飛び乗った。

あまり人の乗っていない電車。

俯くと同時に涙が流れた。涙を拭う気力もなくて、手の甲に落ちる涙を見つめていた。声が漏れてしまわない様、必死に唇を噛みしめた。