めくるめく恋心

まずい状況だっていうのは分かってるのに、怖くて声が出ない。

_誰かっ、助けて!!

そう叫んでるのに、声にならない。

馬乗りになられ、声が出ない分兎に角暴れた。逃げたい一心で無我夢中だった。


「っ……。」


突然頬に痛みが走った。


「おとなしくしてれば痛くしねーよ。 お前も気持ちいい方がいいだろ?」


_この人、何、言ってる……の?

首筋に感じる生ぬるさ。洋服の中に感じるごつごつした手。全てが気持ち悪かった。涙で視界がぼやける。

_ヤダ……っ、触らないで!!


「っっ!?」


気付けば石で男の頭を殴っていた。頭を押さえて地面に倒れこんだ男は痛みに悶えている。


「このッ、アマが……ッッ!!」


弾かれる様に足が動いた。

_早く、早く……っ!!

振り返る余裕もなくただ前だけを見て必死に走った。男が追ってきているかも分からない。また捕まったらきっとさっきよりも酷い事をされる。兎に角逃げる事しか頭になかった。