めくるめく恋心

「こいつ男慣れしてないんで、そういうのなしでお願いします。」

「シノってば過保護〜。」

「うーちゃん、ありが……」

「うーちゃん?」


_へ?

さっきよりもきつく睨まれ、体が強張った。私の気持ちを他所に、マッキー先輩は隣で大うけしている。

_こ、怖い……。


「右京とどういう関係?」

「…………」


私とうーちゃんの間に割って入ってきた欄先輩の迫力に負けて、上手く言葉が出てこなかった。これは絶対に勘違いしてる。早く誤解とかなきゃ……。


「俺の従姉妹。」

「え? 従姉妹?」

「って事だから、宜しくな。」


急に笑顔になった欄先輩に驚いていると、いきなりギュッと抱き付かれた。む、胸が顔に……っ!

_今度は何!?


「もぉーそういう事は早く言ってよね! 仲良くするに決まってんじゃん!!」


なんて分かり易い人なんだろう。さっきまで怖い先輩だと思ってたけど、ここまであからさまだとちょっと可愛い人だと思ってしまう。

周りを見るとみんな呆れた顔をしている。私もそういう顔をしてるかもしれない。


「もし虐められたりしたら直ぐ私に言いなよ?」

「え?」

「そいつら全員私がシメてあげるからさ」


_シメ……えっ!?

綺麗な顔して今物騒な事言わなかった?言ったよね?


「欄先輩が味方だったら怖いもんなしじゃん! 良かったね、心。」


愛に笑顔でそう言われたけど、いまいち意味が分からない。


「欄は三年女子まとめてっから、俺に言いにくい事はこいつに相談しろよ。 な?」


『な?』って……うーちゃんにそう言われたんじゃ、「うん。」という他何も言えなかった。