千里先輩には両親、そしてお姉ちゃんを事故で亡くした話をした。話しながら泣くことはなかったけど、話した後は酷く気分が沈んでしまった。


「千里先輩は今日も怪我とかしなかったですか?」

「しなかったよ。 それより、また先輩って言った。」

「あ! つい癖で……。」


千里って呼んでほしいって言われて『分かりました。』と言ったものの、意識していないとどうしても千里先輩と呼んでしまう。


「名前呼んでみて?」

「せ、千里……。」


_改めて呼んでと言われると少し恥ずかしい。


「今顔真っ赤でしょ?」


そう言われて鏡を見ると、確かに少し顔が赤くなっていた。言い当てられた事に更に恥ずかしさが増し、もっと赤くなった。


「そんな事ないですよ。」

「あはは、その言い方絶対嘘だ。」

「嘘じゃないです!!」

「必死になるところがまた怪し〜。」

「っ……真っ赤ですよ!!」


観念すると千里の飾り気のない笑い声が電話越しに聞こえてきた。