事細かに話すのは面倒くさくて、心と吉良の話しをかいつまんで話した。いつも能天気な恭平だけど、今回ばかりは呆れていた。


「大好きなお姉ちゃんを取られて拗ねてるって事っしょ? それは心ちゃんが可哀想だよ。」

「あたしもそう思う。 仮に早瀬と元さやになったとしても同じことになってたんじゃないの?」

「どーだろうな。 あいつはガキの頃から基本ワガママだからな。 心に対しては遅い反抗期なんじゃねーの?」

「反抗期ね……。 その反抗期もいつ終わるか分かんないわけでしょ?」

「まーな。」

「せっかく踏ん切り着けて高尾先輩と付き合い始めたのに、心ちゃんチョー複雑じゃん。」


_全くだ。

あたしとしては心の気持ちの方が分かるから、吉良の態度は本当にムカつく。好きでも上手くいかない辛さは凄く分かる。その想いを捨てて気持ちを切り替える辛さも、勇気もよく分かる。


「心の事ちゃんとみといてやんなよ?」

「お前に言われなくても分かってる。」

「ま、あたしたちより右京ママの方が心の事分かってるか。」

「確かにー。」

「お前ら、いい加減にしろよ。」


興味なさそうなふりして面倒見のいい右京が傍に居るから、大丈夫かなとは思う。

心の一生懸命前に進もうとしている姿を見ていると、あたしも頑張ってみようかなって気持ちになる。そう思いながらも、恭平の顔を見たら気が遠くなった。

_あたしはあたしで地道に頑張ろう。