その日の部活後、片づけをしているとマッキー先輩が意味ありげな顔をして右京に近づいていった。


「イッチーとタカ付き合い始めたんだってー?」

「らしいっすね。」

「らしいって、シノはそれでいいわけー?」

「あいつがいいならいいんじゃないっすか?」

「えー、ママ的には反対なのかと思ってたしー。 つまんないのー。」

「そもそもママじゃないし、あいつの恋愛に口出す気ないっすよ。」


_吉良も右京みたいにただの過保護なら良かったのに。


「心ちゃんが高尾先輩と付き合う事になったって言った時はビックリしたけど、あの二人お似合いだよね。 俺も彼女欲しくなってきたー。」


ボールを片付けてると、近くに来た恭平がそんな事を言った。

恭平に高一の冬まで彼女が居たのは知っている。それからちょいちょい女の子と遊んでいる事も知っている。気になるし傷付く。けどあたしの気持ちなんて知らない恭平は、能天気な顔をして女の話しをしてくる。


「つくればいいじゃん。」


思ってもない事をついぽろっと言ってしまう。「あたしなんてどう?」なんて可愛く聞けるほど素直でもなければ度胸もない。


「彼女ってなったらそんな簡単な話じゃないでしょ。 愛こそどうなの? 彼氏と別れて男の話しないじゃん。」