めくるめく恋心

近くに居る女の子たちからの視線が痛い。気にしていない千里先輩はいったいいつからこんな環境で過ごしてきたんだろう。


「こら高尾—！！　何してんだー！！　早く戻れ！！」

「あ、見つかった。　ごめん心ちゃん俺行くね。」


部活に戻ろうとした千里先輩が直ぐに振り返った。そうさせたのはきっと私。気付いたら千里先輩のＴシャツの裾を摘まんでしまっていた。


「心ちゃん？」

「あの……宜しくお願いします。」

「……え？」

「体育祭の時のお返事……まだ有効なら、よ、宜しくお願いします。」


唖然とする千里先輩。その顔を見た瞬間、カッと熱くなった。

＿一気に体から汗が……っ！

Ｔシャツから手を放した。何も言わない千里先輩に急に怖くなった。


「部活中にごめんなさい！　私帰ります！！　っ、千里先輩！？」


突然千里先輩に抱きしめられて混乱した。周りからは悲鳴にも似た叫び声が聞こえてくる。


「せ、千里先輩？　は、早く戻らないと……先生が……。」

「そんなのどうでもいい。　嬉しくて死にそう。」