めくるめく恋心

「凄く盛り上がってたけど、何の話してたの?」

「えっと……愛が明日話聞かせてねって……。」


_ゴム渡された何て言えるわけがない!

今日ほど靴箱まで長く感じた事はない。


「それにしてもこんなに堂々と帰って大丈夫なんですか?」


校舎を出て門まで行くにはサッカー部が練習しているグラウンドの横を通る。今まさに私たちはそのグラウンドの横を並んで歩いている。


「午後から練習でまだ誰もグラウンドに居ないから大丈夫だよ。」


_そう言われてみればそうだよね。

テストは午前中で終わりだったから、部活に入っている人たちは今頃お昼ご飯を食べている頃だ。

千里先輩とこうして制服を着ている時に並んで歩くのは初めてで、ちょっと照れくさい。


「取りあえずどっかでご飯食べようか?」

「はい、そうですね。 テストで頭使ったからか、いつもよりお腹が空いてる気がします。」

「俺も。 テストって本当嫌だね。」

「そうなんですか? 意外です。」

「意外かな? テストなんてなくなればいいのにって思ってるよ。」


千里先輩はいつもテストでは上位だって愛が言ってたから、別に勉強は嫌いじゃないんだと思っていた。勉強が出来るからって勉強が好きとは限らないんだな。