めくるめく恋心

テストは無事に終わり、変える準備をしていると、愛が話しかけてきた。


「今日でしょ?」

「うん、そうだよ。」

「楽しんできなね。」

「うん!」

「それから、これは万が一の為にあげる。」


そう言って渡された掌にすっぽり収まる、キャンディーの絵が描かれた可愛い四角い袋。

_これってまさか……。


「高尾先輩に限ってとは思うけど、備えあれば患いなしっつーじゃん?」

「ちょっと愛!! っ、付き合ってもないのにそんな事になるわけないじゃん!!」

「あはははっ! 顔ヤバ! 真っ赤じゃん!!」

「もぉー!! これ返……」

「心ちゃん!!」

「千里先輩!?」


タイミング悪く千里先輩が現れ、手に持っていたゴムを慌てて鞄の中に押し込んだ。慌てる私を見て愛はヒーヒー言いながら笑っている。


「あれ? お取込み中だった?」

「そんな事ないです!! 今行きます!!」


笑いが止まらない愛の背中を軽く叩いて千里先輩の所へ急いだ。笑いながら片手を上げる愛に見送られ、私は教室を後にした。