家に帰り着くと、玄関にはいつもよりも多めにローファーが置かれていた。

_きーちゃんの友達が来てるのかな?

一足はサイズが小さいから女の子かな?と思った。


「ねぇ、うーちゃん。 分かんないところあったら聞きに行ってもいい?」

「あぁ。」


そう言うとうーちゃんは直ぐに自分の部屋に入って行った。

うーちゃんは教えるのが上手だから、つい頼ってしまう。それに嫌な顔一つしないで教えてくれるから、分からないところがあると直ぐに甘えちゃうんだよね。

きーちゃんの部屋の前を通ると、何やら楽しそうな声が聞こえてきた。

_それにしてもきーちゃんがこんなに早い時間に家にいるなんて珍しいな。

そんな事を思いながら私も自分の部屋に入った。

部屋着に着替えて直ぐに勉強道具を机に出した。

_取りあえず一番苦手な英語から勉強しよう。

ニューヨークで生活するのに嫌でも英語は覚えた。けど、兎に角話すことを優先してきたせいで、文法がぐちゃぐちゃ。それにスペルもよく間違える。中途半端に分かっているせいか、こうしてちゃんと勉強しだして間違いを直すのに苦戦している。

文句ばかり言っていてもしかたがないので、机に向かって勉強を始めた。

集中して勉強しては少し休憩の繰り返し。その少しの休憩の度にどうしても昨日の事を思い出してしまう。

何度も頭の中で再生される加賀美 沙彩という名前。そして千里先輩に抱きしめられた事。

勉強も頭に入れなきゃいけないのに、既にキャパオーバーで頭がパンクしてしまいそうだった。