めくるめく恋心

吉良君と二人三脚をしてる女の子。

_あれって……。


「ココだよね!?」

「……あぁ。」


直の返事で何故か気が抜けて、ストンっとその場に座りなおした。

必死にココの姿を目で追う私の手を握ってくれる直。チラッと秋生に視線を向けると、私たち以上に真剣にココを見つめていた。


「あ! ココ……!!」


無事一位でゴールしたのもつかの間、ココがこけて吉良君がそれを抱き止めた。ここで見ていても分かるくらい、ココは慌てふためいていた。けど直ぐに吉良君とじゃれ始め、楽しそうにしていた。


「あの子何!?」

「もしかして彼女かな!?」

「たまたま居ただけの子でしょ!?」

「でも仲良い感じじゃん!!」


吉良君ファンの子たちがこぞってそんな話をし始めた。私にとってはそんな事どうでもよくて、そんな事よりも秋生の事が気になってしかたがなかった。

秋生は切ない目をしてココの事を見てた。膝の上で握った拳には力が入っている。けど、きっと本人はその事に気付いてないだろう。

_色々と複雑なのはわかるけど、自分の気持ちに素直になればいいのに。

秋生の事だから、まだ言いよって来てる加賀美さんをそっちのけで、ココと昔みたいな関係にはなれないと思ってるのかもしれない。