めくるめく恋心

手に持っていた食券を突然恭平に取られた。恭平は私たちの食券を取り上げると、口を開いた。


「食べ物は俺が取りに行ってくるから、二人は飲み物ね。」

「え!? それじゃ恭平に悪いよ!!」

「んじゃ心ちゃんは俺と一緒に食べ物係〜って事で、右京飲み物宜しくね〜!」

「え!? ちょっ!?」


恭平は私の手を取ると、学食の奥へグイグイ足を進めて行く。力で敵うわけもなくて、あわあわしてる間に受け取りカウンターへ来てしまった。

食券を出すと、学食のおばちゃんが笑顔ですぐに用意してくれた。トレーを持って席に向かいながら肩を落とした。


「うーちゃんに悪いことしちゃった。」

「心ちゃん気にし過ぎだって。 転校初日なんだから、今日くらい右京に甘えときなよ。」

「今日どころじゃなくて毎日甘えきってるよ〜。」

「あはは、まっ、それでいいんじゃん? 右京の性格上嫌だったら放置だろうし、甘えられるだけ甘えとけばいいんだって。」

「そういうもん?」

「そういうもんもん!!」