みんなの視線に緊張する。まだほんのり涼しい季節なのに、手汗も凄いことになってる。


「じゃあ自己紹介してくれる?」


笑顔が可愛らしい担任の先生に促され、私は口を開いた。緊張のあまり喉がカラッからで上手く話せる気がしない。


「い、市川 心(いちかわ こころ)です。 えっと......家の都合で海外に居たんですが、春からまた日本に住む事になりました。 あの、その......宜しくお願いします。」


恥ずかしくてつい早口になってしまったけど、みんなは「ヨロシク〜」と笑顔で迎えてくれてホッとした。


「それじゃあ、一番後ろの空いてる席に座ってくれる?」

「あ、はい。」


席までが凄く遠く感じる。それに足もちょっと震えてる。心臓もバクバクだし......とにかく体も心も大騒ぎ。

漸く席にたどり着いて椅子に座ったら、一気に力が抜け落ちた。

転校生って大変。