「青山くん…いますか?」
ドアの近くに立って名前を呼んでるのは、
ふわふわに巻いた髪を揺らす女の子
あ…2組の可愛い子だ
なんだけっけ、影内さんだっけ?
ふわふわしてて
ザ女の子!って感じで男子にも人気があって
他校でも有名で…って
まるで漫画の世界の女の子
なんていうか…春、みたいな
ピンク色のオーラを常に放っている
「しぃ、呼ばれてるよ?」
なぜだか分からないけど、
しぃは
一向に影内さんのところに行こうとしない
「ん~…」
こんなのはいつものことだけど
今日は余計に気だるそう
しぃは女の子に興味無いのか知らないけど
呼び出されるたびにだるそうな顔をする
あんな可愛い子なのに…
モテる人に限ってそうだよね
私なんかしぃの足元にも及ばないのに
「早く行きなって」
私は一向に動かないしぃの腕を掴んだ
そして無理やり立たせて背中を押す
チクン、
チクン、
胸に針が刺さったみたいだ
こんなのいつものことなのに
1日、1日
胸の痛みが増してる気がするのはなぜだろう
女の子の隣を歩くしぃを見るのは
なんだかつらい

