「しぃ、一緒に勉強しよう!」


スクールバッグから3年生の教科書を取り出して

ベットの上の白い机にバンっと置く

しぃはギリギリ進級はできたものの

3年生になってからは1度も学校に来てないから

卒業できないかもしれない

でもそんなのは嫌だから



「俺、卒業できないよ?」



そんなの、もうとっくに考えてたから

わかってたから

そんな顔しないで

卒業できないなら、違う方法を考えよう

だって同じ大学に行くって約束したじゃん

2年の夏、一緒に勉強してたじゃん

あの約束はなかったことになんてしたくない



「一緒の大学に行くって約束したでしょ?」


しぃは静かに頷いて


「そうだね。それじゃあ高卒認定試験受けないとね。」


しぃが未来を見てくれた気がした

私と一緒に大学に通う未来を

生きている未来を。

それだけでも嬉しかったんだ

生きるのを諦めていたしぃが

少しづつ変わってきている気がする

少しづつ生きる希望を探そうとしている



「でも、ひなたに勉強教えられるの?」

「…っ、頑張るよ!」


きっとしぃは吸収が早いから

私なんかよりずっと勉強はできるから

私が…頑張らなきゃ

今が辛くても未来はきっと明るい

明るい未来が私たちを待っている