入学してあっという間に3年生

来年の春になれば

もう私はこの学校にいない

みんなともお別れして新しい道へ進むんだ

あと1年

みんなと楽しく過ごせますように


そんな幸せで溢れている時

私たちの耳にある噂が迷い込んできた



「ねえ…青山くんって覚えてる?」



後ろの席の女の子がそう話し始めた

たぶん他のクラスの子と

コソコソと噂話をするように。

私と桜ちゃんはいけないと分かっていながらも

その話に耳を傾けた


最初は彼がいなくなってからも続く

恋話だと思ってた

けれど私たちの予想とははるかに違っていた



「私春休みに部活で怪我して近くにある総合病院に行ったの。そしたら青山くんがいてさ…びっくりしたよ~」


近くにある総合病院…?

胸がざわついた

しぃはまだ近くにいるの?

そう遠くはない、近くにあなたはいるの?



「ひなたちゃん…」


すっかり固まってしまった私に

桜ちゃんが気遣うように話しかける

けど私の頭の中はしぃで一杯一杯だった

もう、諦めきれたと思っていたのに

なのに近くにいるなんて言われたら

会いたくなるよ



「いいの?あの子達の話聞かなくて…」

「いい。会いたくなっちゃうから」


心配そうな顔をする桜ちゃんに

私は笑った

これ以上聞いたら、

これ以上知っちゃったら

私はしぃを追いかけてしまうかもしれない

私は風斗のそばにいるって決めたから

もう風斗を裏切ったりできないよ______