「お前…何時からここにいた?」
「8時前くらいからかな…」
風斗の口から大きなため息が溢れて
この寒さが伝わる白い息が溢れた
「2時間以上も…そんな薄着でお前は死ぬ気か」
「大丈夫だよ、寒くないよ」
「嘘つけ、バカ」
そう言うと風斗はわたしの右手をすくって
自分のダッフルコートのポケットにいれて
そしてその中できゅっと手を繋いだ
「手、冷たすぎ」
「風斗の手はあったかいね」
ポケットの中はあったかくて
ポカポカしてて
すっごくすっごく暖かくて
「カイロ入れてるからな」
なんて風斗は笑いながら
左手で自分のマフラーを外すと
私の首に巻いてくれた
「あ、いやそこまでしなくていいから」
「ばーか。既に顔色わりいんだよ」
ぽんっと頭を叩かれて
いつもならその手を払うのに
今日はその手が優しいから
胸がきゅうっと締め付けられた
もう…ダメだなあ
人って本当に辛い時は泣けないんだ
泣いちゃうのは
辛い時に優しくしてくれる誰かの
暖かさに触れた時なんだ

