「いや別にそういうわけじゃなくて…」
頭がクラクラする
自分で思っておきながら
自分で言っておきながら
改めて口に出されると恥ずかしい
「でも公共の場だし…ファミリーもいるし…」
自分の口にチャックをつけたい
切実に…
「じゃあさ、周りから見えないならいいんでしょ?」
そ、そういう問題かな?
一瞬悩んだりもしたけれど
とりあえず頷いておいた
すると暗い空間の中でも分かる
時雨の表情が
にっこりと笑った気がしたんだ
「最初から言えばいいのに」
そうボソッと呟くと同時に
時雨の左手が私の右手に絡みついた
初めて触れた気がする時雨の手
鼓動が段々早くなる
バクバク音を立てて破裂しそうなくらい
「時雨だってしたかったくせに」
ずっと負けるのが悔しくて
思わず強がってそう言うと
「うん、そうだね。ずっと。」
無駄に素直で
余計に心臓がうるさいよ______

