翼はそんな俺の頭をグシャグシャ撫でて、
律さんの横に腰を下ろした。
律「ゴメン、翼。完全に忘れてた」
翼「まぁ、急に消えるくらいだから桜花関連かなーと思って来てみたら正解だったよ」
翼は俺の過去を話していない。
…………それでも察して優しさで包んでくれる。
普通、彼女に仲間とはいえ男が抱きついていたら良い気分ではないだろう。
なんとなく気まずくて、目線を下げる。
翼「………伊吹、」
優しさを含んだ低音ボイスに反射的に顔を上げた。
「………」
翼「桜花だけじゃなくて、俺らもいるだろ?」
族の総長とは思えないような、穏やかな笑顔にまた、涙腺が緩んだ。
「…………うっ、…うんっ、」
翼「ったく、」
翼が俺の止まらない涙を拭う。
律「翼は誰でも手懐けるねぇ……」
翼「…手懐けるって………もうちょっとマシな言い方ないのかよ」
律さんも笑いながら俺の頭を撫でる。
二人の会話と雰囲気が心地よくて、
自然と笑みがこぼれる。
「……………ありがとう、二人とも」

