「もー食えねぇ」
「あたりまえじゃん!2杯もおかわりしたんだよ?」
「だってうまかったんだもん♪」
などと可愛く言って来た
ごめん。ちっとも可愛くないや
と心の中で少し思ってしまった笑
「あっ、そーいえばさ、奏兄と会った?今年」
奏兄とは東城奏(トウジョウカナデ)、私のお兄ちゃんのことだ。
「あー、今年はお正月にしかあってないっけ。連絡とかはとってるんだけど、その話は出てこなかったから……。
仕事忙しいんじゃない?一応教師だし。」
そう、私のお兄ちゃんは音楽の教師だ。
私のお兄ちゃんは、ピアニストになれるくらいピアノが上手でした。だけど中学の時、音楽の先生に助けられ、教師になろうって決めたそうです。
「そっかぁ…近々会えたらいいな、俺もあいてーし」
「そうだね、また言っとくよ。」
「おう、んじゃ俺帰るわ」
そう言って和人は上着を着はじめた
「えっ、もう帰るの?」
「おう、これ以上長居したら俺寝るかもしんねーし」
「そっかぁ……」
ごちそうさん!っと大きな声で言って玄関のドアから出ていってしまった。
私は小さなため息をつき、自分の部屋を見渡した。
……いつもより、少し広いような、寂しいような部屋に見えた。

