朝のことがあってから、和人は午前中の授業は全てこなかった。そして今はお昼。いつも和人が中庭でご飯を食べてるから、もしかしたらと思って来てみた。

やっぱり来ないかな……


「ここ、俺の特等席何だけど?」

「和人……」

「どうした、珍しいじゃん。いつもは音楽室で食ってるのに。」

「和人、私言い過ぎた……ごめん。」


私は頭を少し下げて、和人に謝った。

でも和人は、私の下げた頭をポンポンしながら言った。


「お前は悪くねーよ。だから頭上げろって。」

そう優しくいってくれた。
そして私と和人はベンチに座り、話を続けた。


「俺な、昔から好きな奴いてさ、そいつ頭良くて、俺も必死に勉強して同じ高校入ったんだよ。だけどそいつには好きな奴いて、結ばれてほしくないのに、俺だけのものにしたいのに、そいつを応援してんだよ。お前ならできるって。」

和人が初めて言ってくれた、だけどその時の目は、とても悲しそうな目だった。

「俺が誰かと付き合い始めたのも、もしかしたらそいつを忘れられるんじゃないかと思ってし始めたんだ。だけど、そんな簡単なもんじゃなかった。」


私はそのことを聞いても、声をかけられなかった。