「すば、る……?」


「後ろ向くな、前見ろっ」


あたしは後ろに向けかけていた顔を、前に戻した。


「昴、どうしたの?」

「どうもこうも、お前が泣いてるから」

「だから、来てくれたの?」

「悪いかよ」

あたしは大きく首を横に振った。

悪くなんかない。

嬉しいの。

昴が、あたしのために来てくれて。

「今笑っただろ?」

「笑ってないよ」

「ぜってぇ笑った。別にお前のためじゃねぇからな」

そんなぶっきらぼうな言葉も、

今はすっごく嬉しいよ。