「さ…-ら!、さく……、桜っ!!」
ーービクッ。
バサバサッ…。
ビックリした衝撃で、机の上に置いていた教科書が、床へと落ちた。
「………へ?」
どわッ!!。
皆が一斉に笑い出す。
「篠原…、おまえは俺の歴史の授業がそんなに嫌いなのかな??」
頭の先に、怒りマークをのっけていた佐藤先生。
皆が私を笑っていた訳が、ようやく分かった。
私…、寝ちゃってたんだ……。
「ご、ごめんなさい…。」
「また寝ていたら、次は廊下に立たせるからな!!」
そう言うと、佐藤先生は教卓の前へと戻り、授業を再開した。
「はぁぁ…。」
ーーとんとん。
後ろから、肩を叩かれた。
叩いたのは、この宮沢高校で出会った第一号の友達、
【柄沢 美咲】(カラサワ ミサキ)。
とても元気な子で、後ろで束ねている肩くらいまである黒髪は、
彼女の性格のように下に向かって真っ直ぐ伸びている。
枝毛なんてものは、彼女には存在しない。
「どうしたのよ、桜。あんたが授業中に居眠りなんて、珍しいわね?」
ニヤニヤしながら、美咲は小声で言った。
(知ってたなら起こしてよ~っ!!)
(起こしたけど起きなかったのは、桜だよ!)
(まじ…?)
(まじ!)
どうやら私は、ぐっすりと、記憶がないくらい寝ていたのだろう…。
(恥ずかし……。)
私は両手で顔を覆い、恥ずかしさで熱くなってきた顔を隠した。
(--あ、そういえば、寝言いってたよっ!)
(えっ、嘘~~!! 私なんて言ってた?)
(ーんとね、「--嫌、そこは…、、ダメっ!!!」って、言ってた。)
(--っっ!!!?)
(もしかして、えっちな夢でも見てた~?)
顔が急激に熱くなって行くのが分かる。
「ーーー見てませんっ!!」
「……あっ。」
クラスの皆は私を見ていた。
ーー佐藤先生も。
ニコってされた。
だから二コってしたら、廊下に立たされた。


