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ーー散るとみてあるべきものを梅の花うたてにほひの袖にとまれる。




僕は愚かしく、欲深い。


遠目に君を見ていれば良かったんだ。


それなのに、僕は君に近づいてしまった。


予期せぬ事だったとはいえ、僕はそんな環境さえも利用し、どんどん君に近づいた。



だって君は、凛と咲いた一輪の花。


香しく、美しい。


それを遠目に見ていれば良かったんだ。


花の魅力は誰もが知ってる。


だから花の周りにはいつでも蝶や鳥が取り囲んでる。


誰もが求めて、誰もがその魅力の虜になって……。


けれど僕は知ってしまった。


近づいてしまった。


もう前のように、遠くから見ているだけなんて出来やしない。


一度嗅いでしまった香りの魅力からは、自分では逃れる事ができないのだから。






瀬戸文章



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