「そっ!このカクテルはメリーウィドウつってな、『もういちど素敵な恋を』って意味があるんだよ。陽菜ちゃんも悠から卒業して新しい恋をしなくちゃな。大人の恋を」
「う~ん、そだね」
「分かってんのかよ?この酔っぱらいが」
隼人お兄ちゃんの額が私の額にごっつんこ。
「フフフ…隼人…お兄ちゃ…だ…すき」
「はぁ~俺も酔ったかな」
隼人お兄ちゃんの吐息が私の顔に
「フフフ……く、くすぐったい」
「フッ あどけない顔して。でもな陽菜ちゃん、陽菜ちゃんは可愛いけどもう子どもじゃない。会う度にちゃんと大人への階段を一段ずつ登ってる。悠は近すぎたから分からないんだよ」
「おと…な…」
「あぁ。ちゃんと人の幸せを願える大人だ。子どもなら駄々を捏ねてみんなを困らせてた。だけど陽菜ちゃんは悠と亜理砂さんのことを最優先に考えて自分の恋を諦めた。確かに大人の、本当の恋じゃなかったかも知れないけどそれでも大事な初恋だ。だからそれにちゃんと終止符を打たないとな」
「う~ん、そだね」
「分かってんのかよ?」
隼人お兄ちゃんが何を言ってるのかはっきりとは今の私の頭には理解はしてないけど、でも心がキャッチしているんだと思う。
「隼人…お兄ちゃ~ん…眠い」
「眠いってもう半分寝てるくせに。ん、暫く寝ろ」
「うん、お、おやすみ」
「はいはい、おやすみ。あ~ぁ、木乃伊取りが木乃伊になりそう」
おでこに温かいものが触れたような…
「今度はメリーウィドウじゃなくミモザをご馳走するな」
「う、うん、ミモザ…」
「ククク…寝言で返事してる。はぁ~参ったね陽菜ちゃんには」
今度は頬に温かいものが…
これはキス?
隼人お兄ちゃんからのおやすみのキス?
それとも…
「フフフ…は、はや…とおにいちゃ…」



