Lost Love~恋の序章~




「フルーツ好きだろ?」

「あ、うん、ありがとう」

また2人になり

なんか…気まずい。

さっきのことが頭に残って。

気まずさを誤魔化す為にフルーツを食べようと手を伸ばすと

「珍しいイチゴだな」

隼人お兄ちゃんがイチゴを手に取って

「陽菜ちゃん見たことあるか?」

「ううん。私も初めて」

そのイチゴは大きく色が白っぽいピンク色。

「此処で出してるってことは美味いんだよな」

「そう…だね」

『ブルースワン』はお酒も食べ物も一流だもん。

だから私にはまだ早いって連れてきてはもらえない。

確かに普通の大学生が気軽に足を運べる場所じゃない。

「ん」

「……」

えっと…

「陽菜ちゃん味見して」

「……」

「早く」

「……」

イチゴを唇に押し当ててくる。

隼人お兄ちゃんを見ると…笑ってるし。

もう!仕方ない。

一口かじって

「あっ、甘い」

「そう?じゃあ」

えっ?

あ、

「隼人お兄ちゃん!」

私の食べかけのイチゴを…食べた。