「仲睦まじいところをお邪魔しますよ」
目の前にフルーツの乗ったお皿が置かれ香川さんの声が降ってきた。
あ~吃驚した。
慌てて隼人お兄ちゃんから距離を取る。
「ハハハ…香川さんほんとに邪魔。これから陽菜ちゃんを口説こうとしてたのに」
「く、口説く!?」
「ハハハ…それは悪かった。もうおじさんは引っ込むから改めて口説いて」
「か、香川さん!」
もう!
なにを言い出すのよ。
「ハハハ…陽菜ちゃん真っ赤だよ」
両手を頬にあてて
「お、お店が暑いんです」
目の前にあったカクテルを…
「あ、陽菜ちゃん一気は」
「大丈夫か?」
えっ?
あ、あぁ、さっきアルコール度数が高いとか。
「うん、大丈夫よ。ウイスキーみたいに苦くないし。それに私パパの子だもん。見かけによらず案外強いんです」
そう。私はママに似ているから童顔。
だから誰も大人扱いしてくれない。
今になってママのコンプレックスがよく分かる。
「確かにおじさんは強いよな」
「涼君もそこそこ飲むし。やはり家系かな?でも陽菜ちゃん、いい気になって飲まないように」
「はい」
やはり香川さんには『小さい陽菜ちゃん』なのね。



