「陽菜ちゃん!」
「うっ!ゴホゴホ…」
「なにやってんだよ?香川さん、すみませんが水を」
私の背中を擦りながら
「陽菜ちゃんにウイスキーは早すぎるって」
そう! 隼人お兄ちゃんの真似をして自分のグラスじゃなく隼人お兄ちゃんのウイスキーを飲んだ。
「どうしたんですか?はい陽菜ちゃん水」
隼人お兄ちゃんがコップを私の口にあて
「飲めるか?」
コップを受け取り水をゴクゴク飲み干す。
「隼人君、あまり陽菜ちゃんに無茶はさせないように。藤倉さんに怒鳴られるよ」
「分かってます。陽菜ちゃん大丈夫か?」
「ふぅ~だ、大丈夫」
香川さんが
「陽菜ちゃん、そんなに飲めないでしょ、まだ。ウイスキーはもうちょっと大人になってからね」
戻って行く香川さんの後ろ姿を見つめて
「みんな私のことを子ども扱いするのね。もう20なのに。パパはもちろんお兄ちゃんも悠ちゃんも。私は小さい子どものままで大人になるとか恋なんてするって思ってない。好きって言ったって それは子どもの頃と一緒で『俺も好きだよ。陽菜ちゃんは大事な 妹だもんな』って頭を撫でて。そんなこと言われてもされても嬉しくないよ。悠ちゃんが大人になってるように私だって同じだけ年を重ねてるんだよ。大人になってるんだよ。なのに未だに小さい陽菜ちゃん」
「陽菜ちゃん」
えっ?
あっ! 私…



