Lost Love~恋の序章~




「ほら、いつまでも真っ赤になってないで乾杯しよ。乾杯」

隼人お兄ちゃんのウイスキーグラスと私のフルートグラスがカチンと音をたて触れる。

そして一口飲みスペアリブを食べて

「ん、美味い。陽菜ちゃんも食いな」

「あ、うん」

いつもの隼人お兄ちゃんだ。

初デートなんて言うからどぎまぎ焦っちゃったけど、いつものようにからかわれただけなのね。

あ~吃驚した。

スペアリブを食べて

「うん、美味しい」

「だろ」

隼人お兄ちゃんがしたり顔で。

フフッ 自分で作ったわけでもないのにね。

そしてカクテルを口に

「この志織スペシャル美味しい」

甘いけれど少し酸っぱさもあり、お酒だというのにさっぱりとした清涼感がある。

「不思議な味」

「どれどれ」

「あっ!」

横からグラスを取り上げられ

「は、隼人お兄ちゃん」

一口飲んだ。

「本当だ。さすが志織スペシャル」

何で私のを横取りして飲むのよ。

子どもじゃあるまいし。