「じゃあ、行くぞ」
「……」
「陽菜ちゃん」
えっ?
今のは私に言ったの?
「兄貴?」
「一人飯は寂しいから連れてくな」
「陽菜ちゃん、いいのか?」
悠ちゃんの声に
「あ、う、うん。可哀想な兄貴に付き合うのも妹の役目だし」
「うん、なら陽菜ちゃん今日はありがとうな」
「お父さんとお母さんに宜しく伝えてね」
「はい。悠ちゃん亜理砂先生、今日はご招待して下さってありがとうございました」
二人の式を見るのはちょっとつらかったけどこれでキッパリ諦めがつく。
「お幸せに」
「ありがとう」
「ありがとう陽菜ちゃん」
二人に見送られ、いや、先程の女の子達の視線も感じながら二次会の会場を隼人お兄ちゃんと出た。
「何処へ行くの?」
タクシーに乗り行き先を告げスマホで『今から行きますから』と連絡を入れている。
「ん、美味い飯と美味い酒を飲ませてくれるとこ」
「なにそれ?それじゃ分かんないじゃない」
「行ってからのお楽しみ」
「はいはい」
いつもこうなんだから。
私をからかうのが隼人お兄ちゃんや悠ちゃんの楽しみかしら。
って私は玩具ですか!?
「ん、どうした?じっと見て。見惚れたか?」
「ち、違うわよ!隼人お兄ちゃんの自惚れや」
「ハハハ…」
やっぱりからかうんだから。



