毎朝同じ電車に乗るその【先輩】のことは、
今年の5月に知った。
たまたま私の前に座ったその人は、
初めて見た時、腕を組んで上を向いて眠っていた。
初めは特に何とも思っていなかった。
顔立ちの綺麗な人だなあと思ったくらいで。
でも毎朝いつも同じ車両に乗り合わせ、
見かけるたびに
自然と目で追うようになっていた。
今日も先輩はいつものように、
座席の一番端に座り、リュックを前に抱えて
上を向いて寝ていた。
そして私は先輩が見える、
少し離れたドアに寄りかかる。
(今日も寝てる…朝弱いんだろうなあ。)
ケータイの画面を見るふりをして、
先輩の寝ている姿をチラチラ見る。
先輩を知ってから、私はただ
そうやって見てることしかできていない。
