彰夫は慌ててリビングへ向かう。そこでは完全に泥酔状態の克彦と、一升瓶を小脇に、立て膝で日本酒をあおるテルミがいた。
「なんで、ろろ(●●)にテルミちゃんがへる(●●)のか、なんか不思議だなぁ…なんて、ど(●)へ(●)でもいいっしょ。この際…。」
克彦が喋るが、酔いのため満足な言葉になっていない。
「そう、酒が飲めれば、それでいいのよ。」
「ああ、出張キャバクラ、バンザーイ。我が家にテルミちゃんが来てくれるなんて…。もっとそばに寄ってもいいかな?」
「いいとも!」
克彦が、立ちあがってテルミの側に向うが、一歩も進まぬうちに、畳に倒れ込んで動かなくなった。彰夫はそんな克彦に構わず、彼の身体をまたぎテルミに詰め寄った。
「なんでテルミが、ここに居るんだ?」
「彰夫が連れてきたくせに…。」
「俺が連れてきたのは、好美だ。」
「あたしは来ちゃいけないの?」
テルミの放った言葉が、彰夫の胸に刺さった。返事を返すことができなかった。
「あたしは家族に紹介してもらえないわけ?」
テルミはそう言うと、彰夫を睨みつけながら立ちあがった。
「待て、テルミ。どこへ行くんだ。」
家を飛び出すテルミ。彰夫は台所の手伝いでしていたエプロンもそのままに、彼女の後を追った。
西浜の海岸線はとうに日が落ちて、暗闇から波の音だけが繰り返して押し寄せて来る。足元も見えにくい浜で、彰夫はようやくテルミに追いつくことができた。
「テルミ、俺が悪かった。テルミの言う通りだ。」
彰夫は、テルミの片腕を取ると、彼の方を向かせた。テルミの黒い瞳に反射する光が、揺れているように感じた。テルミも涙ぐむことがあるのだろうか。
「テルミをちゃんと家族に紹介するべきだった。家に戻ろう。これから姉貴夫婦に紹介するから…。」
「いまさら遅いわよ。」
テルミはそう言いながら彰夫の腕をはらうと、見えもしないのに波の音が聞こえる闇を見つめていた。
「彰夫は、あたしを頭の悪い女だと、馬鹿にしてるでしょう。」
「馬鹿になんかしていない。」
「彰夫の考えている事が、わからないとでも思ってるの。」
「何のことだ?」
しばらく闇を睨んでいたテルミだが、やがてゆっくりと言葉が口からこぼれ始めた。
「あたしとあの女を切り離して、あたしを消すつもりでしょう。それで、あの女とおとぎ話の結末みたいに、いつまでも幸せに暮らすつもりね。」
「なんで、ろろ(●●)にテルミちゃんがへる(●●)のか、なんか不思議だなぁ…なんて、ど(●)へ(●)でもいいっしょ。この際…。」
克彦が喋るが、酔いのため満足な言葉になっていない。
「そう、酒が飲めれば、それでいいのよ。」
「ああ、出張キャバクラ、バンザーイ。我が家にテルミちゃんが来てくれるなんて…。もっとそばに寄ってもいいかな?」
「いいとも!」
克彦が、立ちあがってテルミの側に向うが、一歩も進まぬうちに、畳に倒れ込んで動かなくなった。彰夫はそんな克彦に構わず、彼の身体をまたぎテルミに詰め寄った。
「なんでテルミが、ここに居るんだ?」
「彰夫が連れてきたくせに…。」
「俺が連れてきたのは、好美だ。」
「あたしは来ちゃいけないの?」
テルミの放った言葉が、彰夫の胸に刺さった。返事を返すことができなかった。
「あたしは家族に紹介してもらえないわけ?」
テルミはそう言うと、彰夫を睨みつけながら立ちあがった。
「待て、テルミ。どこへ行くんだ。」
家を飛び出すテルミ。彰夫は台所の手伝いでしていたエプロンもそのままに、彼女の後を追った。
西浜の海岸線はとうに日が落ちて、暗闇から波の音だけが繰り返して押し寄せて来る。足元も見えにくい浜で、彰夫はようやくテルミに追いつくことができた。
「テルミ、俺が悪かった。テルミの言う通りだ。」
彰夫は、テルミの片腕を取ると、彼の方を向かせた。テルミの黒い瞳に反射する光が、揺れているように感じた。テルミも涙ぐむことがあるのだろうか。
「テルミをちゃんと家族に紹介するべきだった。家に戻ろう。これから姉貴夫婦に紹介するから…。」
「いまさら遅いわよ。」
テルミはそう言いながら彰夫の腕をはらうと、見えもしないのに波の音が聞こえる闇を見つめていた。
「彰夫は、あたしを頭の悪い女だと、馬鹿にしてるでしょう。」
「馬鹿になんかしていない。」
「彰夫の考えている事が、わからないとでも思ってるの。」
「何のことだ?」
しばらく闇を睨んでいたテルミだが、やがてゆっくりと言葉が口からこぼれ始めた。
「あたしとあの女を切り離して、あたしを消すつもりでしょう。それで、あの女とおとぎ話の結末みたいに、いつまでも幸せに暮らすつもりね。」



