克彦もまさか、以前彰夫が指名したテルミに、その後自分が入れあげて、彼女を送った時に彰夫の顔を見たとも言えず、その後の言葉が継げなかった。
「どう?彰夫とルームシェアして好美さんに迷惑かけてない?」
台所で包丁を扱いながら、信子が野菜を洗う好美に話しかけた。どうやら、信子は好美と女性同士の話がしたかったようだ。
「はい。彰夫さんは几帳面ですから、部屋はきちんとかたずけるし、時々晩御飯や朝ご飯を作ってくれたりします。だから迷惑だなんて…。」
好美も信子の意図がわかるだけに、出来るだけ誠実に答えようと努力した。
「へえ、あの彰夫がね…。」
信子は、包丁の手を止めた。
「わたしは不思議でしょうがないの。もともと彰夫は、人と人の関わりを避けて、妙に冷めているところがあったから…。そんな彰夫が同棲、いやルームシェアを始めるなんて…。失礼なこと聞いていい?」
「なんでしょうか?」
「ルームシェアを言いだしたのは彰夫なの?」
「ええ…まあ。」
「そう…好美さんはよっぽど彰夫に気に入られたのね。」
「そんなこと…。私も助かっています。家賃はもちろんですが、何よりもひとりで居る時よりも寂しくないし、安心だし…。」
「安心?…あいつ、こんな可愛いお嬢さんと同じ屋根の下で暮らしていて、オオカミになったりしないの?」
「ええ、とても紳士です。」
「まあ確かに、昔から草食系でおとなしい、いや、物足りない子だったからね…。」
「彰夫さんの小さい頃ってどんなこどもだったんですか?」
彰夫に関心を示す好美に、信子は好感を持った。
「ひとことで言えばひどいマザコンでね。」
「マザコン?」
「どこに居てもお母さんのそばから離れなかったわ。彰夫が幼稚園や小学校へ行くのを嫌がる朝は、仕方ないから母が彰夫にチュウをして元気づけて、やっと送り出したの。」
「お母さんのチュウですか?」
「ええ、それで妙に張り切っちゃって、駆け出して学校へ行ったわ…。」
「かわいいですね。」
「かわいい?それを眺めてた姉としては複雑な心境ね。母親も子離れしていないし、彰夫もなかなか親離れしなかったし…。」
「今の彰夫さんからは想像できません。」
「どう?彰夫とルームシェアして好美さんに迷惑かけてない?」
台所で包丁を扱いながら、信子が野菜を洗う好美に話しかけた。どうやら、信子は好美と女性同士の話がしたかったようだ。
「はい。彰夫さんは几帳面ですから、部屋はきちんとかたずけるし、時々晩御飯や朝ご飯を作ってくれたりします。だから迷惑だなんて…。」
好美も信子の意図がわかるだけに、出来るだけ誠実に答えようと努力した。
「へえ、あの彰夫がね…。」
信子は、包丁の手を止めた。
「わたしは不思議でしょうがないの。もともと彰夫は、人と人の関わりを避けて、妙に冷めているところがあったから…。そんな彰夫が同棲、いやルームシェアを始めるなんて…。失礼なこと聞いていい?」
「なんでしょうか?」
「ルームシェアを言いだしたのは彰夫なの?」
「ええ…まあ。」
「そう…好美さんはよっぽど彰夫に気に入られたのね。」
「そんなこと…。私も助かっています。家賃はもちろんですが、何よりもひとりで居る時よりも寂しくないし、安心だし…。」
「安心?…あいつ、こんな可愛いお嬢さんと同じ屋根の下で暮らしていて、オオカミになったりしないの?」
「ええ、とても紳士です。」
「まあ確かに、昔から草食系でおとなしい、いや、物足りない子だったからね…。」
「彰夫さんの小さい頃ってどんなこどもだったんですか?」
彰夫に関心を示す好美に、信子は好感を持った。
「ひとことで言えばひどいマザコンでね。」
「マザコン?」
「どこに居てもお母さんのそばから離れなかったわ。彰夫が幼稚園や小学校へ行くのを嫌がる朝は、仕方ないから母が彰夫にチュウをして元気づけて、やっと送り出したの。」
「お母さんのチュウですか?」
「ええ、それで妙に張り切っちゃって、駆け出して学校へ行ったわ…。」
「かわいいですね。」
「かわいい?それを眺めてた姉としては複雑な心境ね。母親も子離れしていないし、彰夫もなかなか親離れしなかったし…。」
「今の彰夫さんからは想像できません。」



