「あの、手離してもらって大丈夫です」
男の子は我に返ったように顔を赤くした。
「わ、すみません!」
耳まで赤くなって少し可愛い。
こっちも恥ずかしくなって少し沈黙。
「何年生?いつも練習してますよね?」
適当な話を投げかけてみる。
「桜南(さくなん)中の3年、須原 大基(すはら ひろき)」
目をキョロキョロさせて答えた。
1つ年下か…
「私、高月 梨花(たかつき りか)高1です」
「…どうも」
会話終了。ちーん。
大基くんみると何か考えてるっぽい。
はやく、練習したいのかな。
「あ、の、練習、戻っていいよ」
こんなノロマな怪我人ずっとかまってもらうのも申し訳ない。
すると、きまり悪そうに大基くんが口を開いた。
