周りを見ると暗くなってきていた。

結構な道草だ。

「そろそろ帰ろっかな」

「うわ、もうこんな時間か」

大基くんも時計を見る。

「俺はもう少し練習してから帰ります」

そう言ってベンチから立ち上がる。

「じゃあ帰るね」

私もベンチから立って帰り支度をする。

大基くんがタオルを取ろうてして私が取り返す。

「タオル、洗って明日返すね」

「いいですよ別に」

大基くんがまた手を伸ばす。

「汚しちゃったからだめだよ!」

急いでカバンにしまう。

「や、でも」

大基くんが困った顔になる。

でも、こっちこそ汚したタオルをそのまま返すのも申し訳ない。

「じゃあ代わりにこれ使って!」

大基くんのタオルと引き換えに私のタオルを渡す。

「え」

大基くんが驚いた顔になった。