「あ、あの…っ」 通り過ぎようとしたら 誰かに引き止められた。 んー、なんだろ。 「私?」 自分の顔を指さして確認すると、 女子生徒はコクコクと何度も頷く。 「あの、わたし、榎本 小雪って言います。 昨日は傘を貸していただいて、 助かりました、ありがとうございました」 …あっ、あの時の子か。